創設当初、かつてのジャパンカップといえば今と比べると海外馬の豪華さが目立つように思います。凱旋門賞馬、英ダービー馬など、コアな競馬ファンでなくとも名前を知っているような海外GⅠを制覇したような超一流競走馬たちがジャパンカップを目指して来てくれていましたが、現在では、どこでやっているどんなレースか調べないとわからないようなG1勝ち馬だったり、そんなG1すらも勝っていないような馬も招待されたりしています。
実際に、日本の競走馬のレベルが上昇しているという部分もあるにはありますが、それでも日本馬が海外で常勝しているというわけではない以上、環境差を鑑みたとしても日本のほうが上のレベルにあるとは言いがたいはずです。そして、それに比例するように招待馬の優勝は減っていきました。直近の海外馬の優勝は10年前のアルカセットが最後です。
開設された当初、今のような状況になると誰が思っていたでしょうか?高く手強い壁に阻まれていたのを乗り越えたところまでは良かったのですが、その次は壁がどんどん低くなっていく始末。そんなものは望んでいたはずではありません。では、なぜそうなってしまったのか?
1.高速馬場の懸念
日本の馬場は固くてタイムの出やすい高速馬場であり、それが故障の原因となる。と言われることがあります。事実としてタイムの出やすい高速馬場であるということがあるものの、高速馬場だから故障の原因となるという因果関係は証明がされていない、ということはよく言われますが、海外の一流レースを勝ち抜いてきた競走馬にしてみれば、引退後も何億というお金を産む巨大資産です。それを長距離移動させてリスクのある馬場で走らせる必要はない、というのが一つの理由。
高速馬場の解消は芝を柔らかくすることで解消されるようです。ジャパンカップの開催週は府中の開幕週にし、グラウンドを万全のコンディションに整え、さらに散水を怠らないようにすることで割りと簡単に解消できるという意見があります。
高速馬場の良し悪しはこの際関係なく、リスクがあると思われていることをやめるだけで好転する可能性があるならば、反対に高速馬場にこだわる必要は一切ないのではないでしょうか。
2.競合レースとの魅力の差
11月の序盤にはアメリカでブリーダーズカップ。そして12月の序盤には香港での国際招待競走。どちらも単独のレースではなく、いくつもの一流GⅠ競走馬ひとまとめになったカーニバル開催です。
いくらジャパンカップが国際招待競走で遠征費用をJRAが負担してくれるとはいえ、負担がされるのは招待された馬に関わる費用のみです。一方、カーニバル開催であれば、同厩舎に目的のレース以外のレースへ出走する馬がいた場合などに、気軽に同伴しやすいという利点があります。
ジャパンカップの場合は、マイルチャンピオンシップやチャンピオンズカップへ同伴馬がいたとしたら、さらに最低一週間の前後期間が必要になりますが、カーニバル開催であれば数日間の追加ですむため、非常にエコノミックですね。
多数の有力馬を抱えている厩舎の場合は、ジャパンカップだけのために他の競合レースを回避する必要などが生まれてくる可能性もあるでしょう。
レース単体だけでみればジャパンカップの賞金は非常に魅力的ではありますが、前後にあるカーニバル開催と比べてしまうと、若干見劣りがしてしまうと言わざるを得ません。
それならばいっそ、スプリンターズSやマイルCS、チャンピオンズカップなど毎週毎週やるのではなく、ひとまとめに日本でもカーニバル開催にしてみてはいかがでしょうか?
毎週G1開催のほうが売上が見込めるのかもしれませんが、この時期毎週のように押し寄せるG1は競馬ファンにとってありがたい反面、G1を優先したいがために週末の予定を半分拘束されているような気分になることもないでしょうか?いっそ、一週間ガッツリともりあがる週をどこかに宛てて貰えたほうが楽しめるかもしれません。それが中京競馬場だったりしたら東京大阪あたりから遠征客も増えて観光資源となるかもしれません。
今年のフリントシャーもジャパンカップ来日の可能性はあったものの、結局は香港国際競走に取られてしまいました。表面化していないケースでも多数そういったことはあるかもしれません。
日本の名を冠したジャパンカップなのだから、ブリーダーズカップ、香港国際競走に負けないよう、豪華なレースづくりをJRAには期待したいところです。